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2012.06.22

映画「ちづる」をみて

Life

事務所にほど近い場所に、長野松竹相生座/長野ロキシー1・2という古い映画館があります。
大手のシネコンが扱わないような、小規模で趣のある作品を多く扱っている映画館です。
今日は、自閉症の妹を捉えた立教大生の記録映画「ちづる」をみに行きました。

映画「ちづる」は、知的障害と自閉症を併せ持つ千鶴と家族(母と兄)との日常生活をとらえたドキュメンタリー作品です。
作品を監修・撮影するのは千鶴の兄・赤崎正和。
製作、配給、宣伝は、すべて現役の立教大学生が担当しているところも見所のひとつです。

さて感想ですが、これは正解はないと思うので、短めですが自由に書かせていただきます。
まず前提として私の場合どうしても母・赤崎久美寄りの目線でみてしまいます。
最初に心がキュンとなったシーンは、こだわりが強くコントロールの効かない千鶴が、自動販売機で缶ジュースを何本も買いたくてお金を盗み母とケンカになり、その後母が言った一言です。
ストーリーとしては母と千鶴は噛みついたり叩いたりのケンカになりますが、最後には千鶴が百円玉の年号を分別し始めて(別のことに気が逸れて)ケンカが終わります。
その後母は「千鶴の気持ちを落ち着かせてあげる為には、最初から別のことで気を逸らしてあげれば良かったんだね」と自分を責めるのです。
私もそうですが、娘が生を受けてから、自分の感情よりも、まず親としてちゃんとした対応ができたかを考えてしまいます。
親は二番目でいいのです。

数年前父親が他界し、子供たちの悩みも一手に引き受けなければならない母が、大学卒業後に義肢装具士の学校に行きたいと進学を希望する正和を心配するシーンも心打たれました。
隣にいた50代のご婦人はシーンに涙していました。
30歳そこそこの私よりも、もっと自分事としてとらえられるのでしょう。

バナナという名の犬を飼いはじめ、少し成長する千鶴。
しかし一番成長したのは千鶴に正面から向き合い、カメラをまわしていた正和なのかもしれません。

今日も千鶴は自動販売機でジュースを買います。

ボールはこちらに投げられたまま、幕は閉じます。

鑑賞後の帰りみち、映画館を出た直ぐの所にジュースの自動販売機があります。
なんとなく平成2年の100円玉を取り出し、ジュースを買ってみたくなるのでした。

普段あまり映画を鑑賞する時間を作ることのない私が「ちづる」に出会えたのは、今日がロキシーでの最終日だとSNS上で騒ぎ立てる友人のおかげです。
小さく、ありがとう。